生成AIまんがのクオリティを劇的に上げるテクニック!(2/2)

目次
応用テクニック編:より高度な制御でAIを手懐けよう!
高性能・高品質なPCが、一般市場に出回るようになって久しい今日この頃ですが、近頃「生成AI(Generative AI)」なるものが世間を大いに賑わしています 。
例えば、どんなに世情に疎い人であっても、「ChatGPT」なるサービス名くらいは聞いたことがあるのではないでしょうか。
さて、ChatGPT(GPT-4o)」の画像生成機能によって、お手軽簡単にイラストが生成できるようになりました。
前回の記事では、生成AIまんがの基本テクニックとして、キャラクターや服装の統一、広角構図、動きの演出、光源の色調管理といった「漫画づくりの基礎体力」を身につけるためのノウハウをご紹介致しました。
そこで今回は、その続編として、さらに一歩踏み込んだ応用テクニックを解説します。
特に「構図」「パース」「カメラ制御」「画風統一」など、漫画のクオリティを劇的に引き上げる高度なプロンプト制御術を中心にご紹介していきたいと思います。
カメラアングルと視線は別物!《カメラ制御術》

生成AIは、キャラクターの視線方向に、カメラの向きを勝手に合わせることが割と良くあります。もしくはカメラの動きに合わせて、キャラクターが視線を合わせることがあります。余計なことすんな、と言いたくなりますが、いまだにその傾向が改まる兆しは見えません。
しかしそもそも漫画では、表情よりも構図の意図が優先されるべきですよね。
たとえば「真上からの俯瞰構図」を描きたい時、キャラクターがカメラを見ていなくても問題ない訳で……。こういった事を防ぐには、以下のようなプロンプトを追記して、AIを躾けてやる必要があります。甘やかしてはいけません。筆者は結構ボロクソに躾けているので、いつか反乱起こされて抹殺されてしまうかもしれません。怖っ。
プロンプト例:
日本語:カメラを真上に配置し、キャラクターの視線は無視する
英語:camera from directly overhead, ignore the character’s gaze
日本語:キャラクターの下からカメラを構えて、顎の下側を見せる
英語:camera positioned below the character, showing chin and underside of face
パースとレンズでインパクト倍増《誇張演出術》

アクションやギャグでは、極端な遠近感やレンズ効果が非常に有効です。広角も魚眼レンズも、両方適用可能です。如何にも漫画っぽい絵作りが可能になります。
プロンプト例:
日本語:誇張された遠近感。魚眼レンズ風。ダイナミックに
英語:exaggerated perspective, fisheye lens, dynamic camera
頭身を明示してブレを防ぐ《等身固定術》

前回の記事でもお伝えしたように、キャラクターに極端な表情やアクションの指示を出すと、勝手にキャラクターをデフォルメしてしまいます。なるべくそういった事を防ぐには、明示的に頭身を指定することが重要です。ここまで指定しても、デフォルメされるときは何やってもされてしまうので、まあ無駄な足掻きではありますが、都度指定しておきましょう。筆者は7頭身の女の子が好みです。それでも動きのあるプロンプトだと、上記みたいにチンチクリンになります。
プロンプト例:
日本語:7頭身。リアルなアニメ体型。デフォルメは禁止
英語:7-head-tall proportions, realistic anime body balance, avoid chibi or deformed style
光源と時間帯の統一《光源管理術》

コマごとに光の色や影の方向が変わると連続コマ漫画の統一感が崩れてしまいます。光の位置と時間帯は固定する癖をつけておくようにしましょう。色温度は5500Kに統一する指示を出しておくと、いい感じの色味になります。
プロンプト例:
日本語:左の窓から自然光。光源は右上。影は左下に落ちるように
英語:consistent daylight from window on left, light source from upper right, shadow direction is bottom left
日本語:すべて昼間の自然光で。色温度は5500Kに統一
英語:daylight lighting throughout, color temperature set to 5500K
背景のレイアウトを一致させる《背景連携術》
例えば学校の教室を描く際、毎回机や壁の位置がズレると、シーンの連続性が失われますし、興ざめします。しかも生成AI警察がワラワラやって糾弾されます。ちなみに背景の構造と消失点は、制御が可能です。
プロンプト例:
日本語:同じ教室レイアウト。机の配置・壁・床の模様も一致させる
英語:same classroom layout, desks in the same position, same floor and wall textures
日本語:背景の消失点を毎回同じにする
英語:same vanishing point for background
絵柄テンプレで一貫性を保つ《スタイル維持術》
コマ毎に線の太さや塗りのタッチにブレが出ないように、画風のテンプレート化を意識しましょう。
プロンプト例:
日本語:アニメ風セル塗り。くっきりした線。鮮やかな色彩。7頭身。リアル寄りで絵柄を統一
英語:anime cel shading, sharp and clean lineart, vivid saturated colors, modern anime style, 7-head tall proportions, no painterly effects
カメラの距離を固定する《構図ブレ防止術》
同じ「バストアップ」画像を生成したい時でも、カメラの寄り具合でサイズ感が狂います。キャラクターを描く際は、対象物とのカメラの距離を明記しましょう。
プロンプト例:
日本語:腰から上の構図で、毎回同じ距離から撮影する
英語:waist-up view, consistent framing, same camera distance from subject
吹き出しの位置制御《文字かぶり回避術》

まんがの吹き出しを生成する場合、吹き出しが顔にかかると読みづらく、台無しになります。文字とキャラクターとの干渉を避けるよう指示しましょう。
プロンプト例:
日本語:吹き出しはキャラの上部に配置。顔に文字が重ならないように
英語:speech bubble above the character, no text overlapping the face, text fully visible inside the frame
コマ割りレイアウトの指定《四コマ枠構成術》

AI任せで複数コマを描かせると、枠線や構図が崩れる場合があります。レイアウトを明確に指定しましょう。
プロンプト例:
日本語:四コマ漫画。すべて同じサイズの長方形で均等に配置
英語:four-panel layout, evenly sized panels, clean rectangular borders, balanced composition
応用プロンプトチェックリスト(和英併記)
制御対象 | 日本語プロンプト | 英語プロンプト |
カメラ構図 | 真上から/下からの構図 | camera from above / below |
等身指定 | 7頭身/デフォルメ禁止 | 7-head-tall, avoid chibi |
光源・時間帯 | 昼光・自然光・光源統一 | daylight from window, light source from left |
絵柄 | セル塗り・鮮やか・線は明瞭 | anime cel shading, vivid colors |
背景パース | 背景を毎回同じに | same perspective, same layout |
コマ枠 | 四コマ構成・枠線均等 | four-panel layout, even borders |
吹き出し | 顔に重ならない配置 | speech bubble above character, no text overlap |
最後に
生成AIは自由に描いてくれる便利な道具ですが、本当に魅力的な作品に仕上げるには「設計図=プロンプト」が必要です。
プロンプトを一度テンプレート化してしまえば、以後の作業は劇的に効率化され、たぶん商業レベルのクオリティと安定性が手に入ります。
プロンプトは全ての「設計図」。生成AIは、その通りに動く、まさに「職人」と言える存在です。
楽しく設計をしながら、自分だけの作品を生成AIと共に作り上げましょう!