エーゲ海リゾート地のIT事情。超発達している宅配サービスの今。

カヴァラの街並

自分のブログなのに、最近めっきり登場していなかったくまカレーです、こんにちは。
実は数日前まで東欧に出張していました。
pCloudとのトップ会談が目的だったんですが、どうせ行ったのだからバルカン半島の各地を目にしておきたいと思い、あちこち旅してきました。今回の記事は、その中のギリシア・カヴァラという古い都市の市場調査編です。

ギリシアと言えば、2015年当時に日本でも「ギリシア危機」の話題がニュースになっていた事を覚えている人もいると思います。当時の日本のメディアでは、分かりやすく単純化するために「財政破綻しそうになってEUに助けを求めたが、ギリシア自身は全然働かないので、ドイツがブチ切れて……」みたいな報道が多かったのですが、実際には色々な事情があったらしいです。赤字の垂れ流し、徴税の不徹底などが多層的に折り重なって、まあ、言ってしまえば「国民全体がのんびり、いい加減」だったという意味では報道の通りだったのですが、結果的に財政が立ちゆかなくなったんですね。
でも、結局EUが支援を決めて緊縮財政の徹底を強制した結果、ここ10年間で財政はV字回復。EU屈指の優等生になってしまうという面白い話があるのですが、この立役者だったのが、急進的なDX化政策だったと言います。

これまで紙とファックスの世界だったギリシアは、この機に一気にデジタル化。
オンライン決済の導入、AI活用、リアルタイム電子請求書、POS端末連携……日本もまだやっていないようなDX化を国家レベルで導入し、徴税をデジタルで、人材整理、不要な投資を削除、一気に財政健全化まで持っていくという。。
すげぇな、この国。

業界人として興味を持たないはずがありません。
早速ギリシアまで出掛けました。

出掛けた先は古都カヴァラ。
北部ギリシャのエーゲ海沿岸にある港湾都市で、人口約6万人、テッサロニキに次ぐ北ギリシャ第二の都市です。
タソス島を正面に望む円形劇場状の地形に広がり、テラコッタ色の屋根と青い海のコントラストから「ブルー・シティ(青の街)」とも呼ばれます。
古代、ここに使徒パウロが上陸して、ヨーロッパにキリスト教が広まったと言われていたり、近代エジプト建国の父といわれるムハンマド・アリーはこの街の生まれ。歴史の古い街です。

せっかくギリシアに来たんだからエーゲ海の様子もひとつ体験してみるかー、と勇んで海に出掛けたのですが、山育ちの僕が慣れない海に突撃するものだから、たちまち波に揉みくちゃにされて海底の岩場に激突、両足から出血して敢えなく取材断念……何やってんだ。。

負傷した両足

同行者に文字通り担がれてホテルに戻り、大人しくしていなさいと言われ意気消沈。
何か面白いことないかなぁ、、と部屋を見渡してみて、あることに気がつきました。

あちこちに張り出されているTastEat

なにこれ?

ふむ……ギリシア版Uber Eats?
Tasteat(テーストイート)は、ギリシアで2022年に生まれたスタートアップ。主に宿泊施設向けに提供されるフードデリバリーサービスのようです。よくよく見てみると、ホテルのフロントやエレベーター、部屋の冷蔵庫やデスクの上にQRコード付きのシールが貼ってあることに気がつきました。

調べてみると、ギリシア国内ではかなり普及しているみたいで、主要観光地ではすでにほぼ導入済みといった感じです。日本の場合、ホテル提供としてのルームサービスは一般的だけど、この規模で普及している例は見たことがないですよね。コロナ禍で日本でも一部事例はあるみたいですが、現在も利用拡大されているかと言えば……あまりなさそうです。

早速シールに表示されているQRコードからアクセスすると、かなり豊富な品揃えでした。
軽食はもちろん、重めな食事も、お酒、ソフトドリンク、スナック菓子類、ちょっとした日用品まで、網羅的なラインナップです。日本のフードデリバリーと比較すると雲泥の差……東京都内でもここまで充実している地域は少ないんじゃないかな。しかもカヴァラは人口6万人の小都市なのに。

Tasteatは「観光客はホテルの部屋にいる間も何でも欲しい」という一点に特化した設計で、とにかく横展開をキレイに整えている印象です。さすがDX化の申し子。。

試しに注文しようとして弄り回していると、AI機能があることに気がつきました。
「ゼロシュガーのジュースが欲しいんだけど」
と試しに入力すると、「こちらは如何ですか?」とVikosゼロシュガーコーラが表示。
Vikosは地元ギリシアのコーラ。じゃあこれを注文。
「コーラに合うお菓子も欲しいな。お奨めはある?」
「これはどうですか?」
とスナック菓子を表示。なるほど、分からんがこれも注文。
オーダーボタンを押すと、ホテル名と部屋番号まで入力されている。QRコードで認識されているんだろうね。
決済はApple Payで。日本でやっているのと同じ。一発で決済完了。
「20分でお持ちします」と表示。
正味15分以下でドアをノックされた。

Tasteatで簡単に注文できた

配達員は愛想の良いおばちゃんで「やあ、ご機嫌いかが? ありがとうね。はい、これコップも」と手早く渡して帰って行った。

うん、すごい。
日本のサービスと比べると、かなり優秀だと感じました。
ギリシアは今年からUber Eatsが導入されるとか。でも、この状況を見る限り、彼らがこの国でシェアを取れるかは割と不透明な気がしました。

カヴァラ要塞

ギリシアの決済について。
ギリシアはDX化が進んだ結果、恐らく現金の流通量が恐ろしく減っているのではないかと思います。
どこへ行っても現金を見かけないんですよね。
ホテルも、飲食店も、すべてスマホのタッチ決済。
カヴァラのランドマークである「カヴァラ要塞」にも行ってみたんですが、入場料もタッチ決済。
この辺は日本も導入が進んできたとは思うのですが、日本では「現金。タッチ決済にも対応」というイメージですが、こちらは「タッチ決済。言われれば現金でも対応するよ」という感じで、主客が逆転しているわけです。
どんな小さな店舗でも、たいていタッチ決済に対応していて、スマホを見せて「Card」と言えば、普通に決済できる感じでした。

実はこれはギリシアだけでなく、ブルガリア、セルビアでも同様の流れになっています。
これについてはまた後日。

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