pCloud

pCloudでクラウドバックアップを安心・効率的に 〜法人・ビジネス利用でこそ真価を発揮〜

はじめに:なぜクラウドバックアップが重要なのか?

ビジネスにおけるデータの重要性は年々高まっており、「クラウドバックアップ」はもはや業務の生命線とも言える存在になっています。PCの故障、誤削除、ランサムウェアによる被害など、日常業務には常に「データ損失リスク」が潜んでいます。特に「ランサムウェアによる被害」を中心とした外部からの攻撃によってデータが損失してしまうリスクについては、以下のようにIPA(情報処理推進機構)の「情報セキュリティ10大脅威 2025 [組織]」でも上位にランクインしており、しっかりと対策を考える必要があります。

情報セキュリティ10大脅威
https://www.ipa.go.jp/security/10threats/10threats2025.html

特に中小企業や教育機関では、IT部門のリソースが限られていることもあり、手間なく安全なバックアップ体制を整えることが求められます。

今回は、pCloudというクラウドストレージサービスの中でも、クラウドバックアップ機能にフォーカスしてご紹介します。本記事はpCloudレビューシリーズの第2回目にあたります。

pCloudレビューシリーズ

第1回:pCloudの概要と使い勝手

第2回:クラウドバックアップ機能の詳細レビュー(本記事)

第3回:スマートフォン写真バックアップ機能のレビュー

レビューシリーズは3回にわたって、pCloudの機能や使い勝手を、実際に使用した体験をもとにお届けします。

前提:「同期」と「バックアップ」

pCloudのクラウドバックアップ機能には実際には「同期」と「バックアップ」という2つの機能が含まれています。

どちらもデータ保護の手段ですが、目的や動作の仕組みがまったく異なります。pCloudの公式に記載されている情報だけではIT知識に詳しくない方などにとって、両者を混同したままお使いになってしまうリスクもあると感じました。

本記事では「同期」の話をしているのか、「バックアップ」の話をしているのかをなるべく明確に分けてレビューを記載いたします。

ちなみに、本記事では「クラウドバックアップ機能」=「同期とバックアップの双方を含んだ機能」となりますのでご留意ください。

pCloudのクラウドバックアップ機能とは?

pCloudのクラウドバックアップ機能は、指定したローカルフォルダをクラウド上に自動で「同期」「退避(=バックアップ)」することができる機能です。これにより、複数端末でデータを常に最新の状態に保ちつつ(=同期)、もしデータ損失してしまった場合に備えてデータを別の場所に安全退避させておく(=バックアップ)ことが可能です。

pCloud機能紹介
クラウドバックアップ機能に関する説明(公式)

機能の主な特徴は以下のとおりです。

pCloudのクラウドバックアップ機能の特徴
  • フォルダ選択
    • マイドキュメント、デスクトップ、外部ドライブなど任意のフォルダを自由に設定可能
  • マルチデバイス対応
    • 同一アカウントで複数端末の同期・バックアップが可能
  • ファイル復元
    • リストア:削除してしまっても、過去の状態に復元可能
    • リビジョン誤って上書きしてしまった場合などに備えて、過去のバージョンへ戻す対応が可能

特筆すべきは、同期やバックアップにおいて、「Dropboxのように専用フォルダ内だけでなく、既存の任意フォルダをそのまま対象にできる」という柔軟性です。これは業務フォルダが既に整理されている企業利用では非常に重宝します。

実際に使ってみたレビュー:同期とバックアップをそれぞれ体験

pCloudには、ファイルを自動的にクラウドへ保存する手段として、「同期(Sync)」と「バックアップ(Backup)」の2つの機能があります。
これらは似ているように見えて、仕組みや目的に違いがあります。

同期とバックアップの違い
  • 同期(Sync):ローカルとクラウドのフォルダを「双方向」で同期。片方を更新するともう片方も自動的に反映される。
  • バックアップ(Backup):ローカルフォルダの内容を「一方向」でクラウドに保存。クラウド上にはバックアップコピーが残るが、ローカル側の削除はクラウドに反映されない。

以下、それぞれの機能について、実際に使ってみた体験をもとに、以下の観点でレビューします。

レビュー観点
  • フォルダ選択の柔軟性
  • 速度と安定性
  • 復元体験

🔄 同期機能(Sync)のレビュー

✅ フォルダ選択の柔軟性

同期機能では、ローカル端末上の任意のフォルダを選択し、それをクラウド上のフォルダと双方向で同期できます。
筆者はMacBookとiPhoneを対象にして操作してみましたが、デフォルトで用意されているフォルダ(例:「ドキュメント」「デスクトップ」など)に加え、自分で作成したフォルダも同期対象に設定しました。フォルダの選択は自由度が高く、複数フォルダも指定可能です。

同期完了
クラウド側で同期完了を確認

良かった点
  • 既存の任意フォルダを選択できるので、既存ワークフローに組み込みやすい
  • 複数端末間での作業ファイル共有に便利
注意点
  • 同期対象が多いと、初回同期に時間がかかる可能性あり
  • 外部ストレージを同期対象にすると、未接続時にエラーが出るケースあり

🚀 速度と安定性

初回は、約1GBのフォルダ同期に約30分ほどかかりました(Wi-Fi上り300Mbps環境)。
以降の更新は差分のみを反映するため、非常に高速です。ExcelやPDFの大容量ファイルも安定して同期されました。

良かった点
  • 初回以降の更新分については、差分を同期して反映するだけなので非常に高速
  • 同期をしている最中は進捗をpCloud Driveアプリ上から確認できる
  • 同期中にエラーが発生したらファイル単位で通知され、公式のFAQへのリンクも表示されるためエラーハンドリングが親切

進捗確認
pCloud Driveの同期進捗状況確認(残りファイル数とサイズを表示)

エラー通知
pCloud Drive上で通知されるエラー(解決法に飛べるから安心)

注意点
  • 現在の仕様では、帯域制限の設定ができないため、業務時間中の大量同期は通信帯域を圧迫する場合があります。
  • 同期中の進捗確認について、クラウド上(=Webブラウザから使う方)から実施するときはサイドバーでわかりやすく表示してくれますが、ローカルのpCloud Drive上から実施するときは画像の通り、最下部に小さく表示されるだけなので、進捗に気づかず誤操作をしてしまうリスクがあります。この点はUIの改善が必要だと思いました。

🔁 復元体験

同期は「双方向」のため、クラウド上でファイルを削除するとローカルにも反映されてしまいますし、逆も然りです。

ただし、「バージョン履歴」や「ゴミ箱機能」によって、誤って削除したファイルも復元可能です。
筆者は誤って削除したExcelファイルを、Web画面から3クリックで復元できました。

リストア
「ゴミ箱」に残っているファイルをリストアして復元できる

また、そもそもローカルのpCloud Drive上で誤削除してしまった場合は、以下のように警告文が出るので親切です。

警告文
誤削除の際には警告文が出る

バージョン履歴については、以下のように「リビジョン」という機能を使うことで、以前のバージョンのファイルに復元することができます。誤削除したファイルを「リストア」して「リビジョン」という組み合わせも可能です。「リビジョン」についてもわずか3クリックで完了しました。

リビジョン
リビジョンで過去のバージョンに復元できる

復元体験に関して良かった点
  • 復元までの操作ステップが少なく簡単
  • うっかり削除してしまった場合には前述の通り警告文を出してくれるので早く気づいて対処することができる
復元体験に関する注意点
  • 誤操作が他の端末やチーム全体に波及するリスクがある。特に共同編集しているファイルでは、うっかり上書き消してしまうことが大きなトラブルになるリスクあり。
  • 削除してしまったデータは「ゴミ箱」に残るが、無料プランでは15日間の保持のため、より安心安全に復元体験をしたい場合は、有料プランへのアップグレードが必要。

☁️ バックアップ機能(Backup)のレビュー

✅ フォルダ選択の柔軟性

バックアップ機能でも同期と同じく専用のフォルダではなく、自由にフォルダを選択することが可能です。
筆者は「デスクトップ」などのデフォルトで用意されているフォルダ、自身で作成したフォルダ、サードパーティ製のクラウドサービス(=外部ストレージ)にあるフォルダなど複数の場所にあるフォルダをバックアップ対象に設定しました。

フォルダ選択
フォルダ選択が自由で操作性も高い

バックアップ完了
クラウド上では「MacMachine」という場所にバックアップが作成される(MacBookの場合)

外部ストレージのバックアップについても試してみました。私の場合は「OneDrive」を選択して実施しましたが数クリックでバックアップが完了しました。

外部ストレージバックアップ設定画面
外部ストレージのバックアップ設定画面

外部ストレージのバックアップ完了
外部ストレージのバックアップが完了(バックアップ > Backupsというフォルダに自動作成)
良かった点
  • ローカルのどこにあるフォルダでも指定可能
  • 「同期」と操作感が統一されている
  • 外部ストレージのバックアップにも対応(接続状態に注意)
注意点
  • 外部ドライブが未接続のまま起動すると、一時的にエラーメッセージが表示される場合あり

🚀 速度と安定性

初回バックアップについては、大容量フォルダ(約12GB)のバックアップには約35分かかりました。
バックアップ対象のフォルダに追加・変更があった場合は、自動でクラウド側が更新されます。

良かった点
  • 同期と同じく進捗状況が表示される
  • 初回のバックアップ以降は停止しない限り追加・変更に際して即時バックアップが実行される
  • エラーが発生したらファイル単位で通知され、公式のFAQへのリンクも表示されるためエラーハンドリングが親切
注意点(「同期」と一緒です)
  • 現在の仕様では、帯域制限の設定ができないため、業務時間中の大量バックアップは通信帯域を圧迫する場合があります。
  • 進捗確認について、クラウド上(=Webブラウザから使う方)から実施するときはサイドバーでわかりやすく表示してくれますが、ローカルのpCloud Drive上から実施するときは画像の通り、最下部に小さく表示されるだけなので、進捗に気づかず誤操作をしてしまうリスクがあります。この点はUIの改善が必要だと思いました。

🔁 復元体験

バックアップは、「一方向」のソリューションのため、誤ってローカルから削除をしてしまってもクラウド上には残ります。

バックアップからの復元は、Web画面や専用アプリから対象ファイルをダウンロードする形になります。

筆者はバックアップ済みのフォルダをPC初期化後に再ダウンロードし、すべて正常に復元できました。

復元する際は、まず削除してしまった際にユーザーに対して親切にメッセージが表示されます。

サポートメッセージ
誤削除の際にはメッセージが出るので安心

また、同期と同じように「リストア」や「リビジョン」も可能なので十分な機能として提供されていると思います。

良かった点
  • 誤削除の際にはユーザーの手がかりとなるように親切にメッセージが表示される
  • リストアやリビジョンの機能が十分に提供されている
注意点
  • 「同期」と「バックアップ」を混同しないように復元操作を行う必要がある。
  • 削除してしまったデータは「ゴミ箱」に残るが、無料プランでは15日間の保持のため、より安心安全に復元体験をしたい場合は、有料プランへのアップグレードが必要。
  • リビジョンの際に「世代管理数」を自分でコントロールできない。

法人・ビジネス用途に向いている理由

pCloudのクラウドバックアップ機能は、特に以下のような法人ユースケースに向いています。

pCloudのクラウドバックアップ機能が向いている法人ユースケース
  • 👔 中小企業・大学などの組織:PCスキルが多様でも直感的に使える
  • 👩‍💼 業務PCの定期バックアップ:退職・異動時のデータ継承にも便利
  • 🔐 情報漏えい・ランサムウェア対策:ローカルに依存しない構成で安全性向上
  • 🤝 チームファイルの安全な管理:バックアップ+ファイル共有のハイブリッド運用も可能

また、暗号化機能(pCloud Encryption)を併用すれば、より高度なセキュリティ運用も可能です。

今すぐ使ってみたい方へ:おすすめの導入方法

実際に使ってみた感想として、「もっと早く導入しておけばよかった」というのが正直なところです。
業務PCの安全対策を考えている方には、ぜひ一度試してみてほしいと思います。

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次回予告:スマホ写真の自動バックアップ機能にも注目!

本記事は、pCloudレビューシリーズの第2回目として、クラウドバックアップ機能にフォーカスしました。
次回は、スマートフォンの写真や動画の自動バックアップ機能についてレビュー予定です。

スマホで撮影した業務資料や現場記録を、PCと同じように自動でクラウド保管できる利便性とは?
ぜひ、次回のレビューもご覧ください。

おわりに:本記事の狙いと今後

pCloudは「個人のためのクラウドサービス」と思われがちですが、実は法人や教育機関にも最適な設計がされています。今回のレビューが、業務環境の改善やバックアップ体制の見直しの一助になれば幸いです。

Hidai

ひだい さとし(フルスタックWebエンジニア) フルスタックのWebエンジニアとして約3年間、システム開発に従事。業務のかたわら、「どうすれば生産性を上げられるか?」をテーマに、さまざまなソフトウェアやツールを日々試しています。 当ブログでは、仕事やプライベートのユーザー体験を向上させてくれるソフトウェアのレビューや活用法を発信中です!

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