ビジネスに最適なクラウドストレージ「pCloud」とは?〜スイス発の高セキュリティなストレージをレビュー〜

目次
はじめに:ビジネスでも安心できるクラウドストレージを選ぶ時代に
近年、リモートワークの普及やDX(デジタルトランスフォーメーション)の進展に伴い、クラウドストレージの重要性はますます高まっています。特に、社内文書や研究データを効率的に管理・共有しながらも、高いセキュリティ性を確保するニーズは、企業・大学を問わず共通の課題となっています。
今回ご紹介する「pCloud(ピークラウド)」は、スイス発のクラウドストレージサービスで、ヨーロッパ基準の厳格なプライバシー保護と、直感的な操作性を兼ね備えた注目のソフトウェアです。
本記事は、pCloudレビューシリーズの第1回目です。
第1回:pCloudの概要と使い勝手(本記事)
第2回:クラウドバックアップ機能の詳細レビュー
第3回:スマートフォン写真バックアップ機能のレビュー
3回にわたって、pCloudの機能や使い勝手を、実際の使用体験をもとにお届けします。
pCloudとは? 製品の基本情報と特徴
pCloudは、スイスに本社を構えるpCloud AG社が開発・提供するクラウドストレージサービスです。ヨーロッパのGDPRに準拠したプライバシー設計が特徴で、個人だけでなく企業や教育機関にとっても導入のハードルが低く、世界中で1,600万人以上が利用しています。日本国内においても、2025年2月時点で、アクティブユーザ数は10万人を突破しています。

主な特徴は以下の通りです。
- 高度なセキュリティ機能
- 買い切り型「ライフタイムプラン」
- マルチデバイス対応
- 柔軟な機能性
- 法人導入も安心
高度なセキュリティ機能
法人で利用する場合には特に「セキュリティレベルの高さ」が重要視されます。pCloudでは以下のような特徴を活かして、安全で安心なクラウドストレージ環境を提供することを可能にしています。
- ヨーロッパのGDPR(EU一般データ保護規則)に完全準拠。
- ゼロ知識暗号化(Zero-Knowledge Encryption)を有料オプションで提供。復号キーはユーザーのみが管理し、pCloud側も内容を知ることができません。
- ISO27001 / ISO9001の国際認証取得、日本国内でもASP・SaaSの安全・信頼性に関する認定を取得。
買い切り型「ライフタイムプラン」
pCloudでは月額ではなく一度の支払いで永久利用可能なライフタイムプランを提供しています。長期的に見れば、非常にコストパフォーマンスが高くなります。

「ライフタイムプラン」が提供されているのは「個人利用向け」と「Family向け」の2つであり、「Business向け」のプランはサブスクリプションではあります。しかし、公式で紹介されているプランの通り、個人の利用でも最大10TBまでの容量を確保できるのでかなり魅力的です。
マルチデバイス対応
pCloudでは、「マルチデバイス対応」という特徴を活かして、高いアクセシビリティを実現しています。
- Windows / macOS / Linux / iOS / Androidすべてに対応。
- 専用アプリ「pCloud Drive」は仮想ドライブとして機能し、ローカル容量を使わずにファイルを管理可能。
- モバイルでは写真・動画の自動バックアップにも対応。出先からのアクセス・共有も簡単。
なお、「バックアップ機能の詳細」については次回以降のレビュー記事をお楽しみに!
柔軟な機能性
他にもpCloudでは非常に柔軟性の高い機能が提供されています。
- ファイルサイズの制限なく共有可能。フォルダ単位での招待や共同作業にも対応。
- リンクのブランディングや共有設定のカスタマイズも可能。
- 他のクラウドサービスからの自動バックアップにも対応。
法人導入も安心
pCloudには法人向けのサポートも充実しており、大学や病院、研究機関などの専門機関も含めた多数の法人に利用されています。
- 大学・病院・研究機関など日本の多くの専門機関が導入。
- 日本での代理店(ノイテックス)経由での請求書払い・サポート対応あり。
- 医療・教育・クリエイティブ業界など、データ管理と共有が重要な業界に最適。
実際に使ってみたレビュー
筆者がpCloudを実際に使ってみたレビューを以下に記載します。ポイントは5つです。なお、なるべく中立的な立場からのレビューを目指し、「注意点」も記載しています。
- 導入から初期設定までの流れと所要時間
- バックアップ時の柔軟性
- 同期・バックアップの速度と安定性
- バージョン履歴と復元体験
- 運用中の感想と法人導入視点での評価
導入から初期設定までの流れと所要時間
実際に利用してみて、「導入はしやすい」と感じました。アカウントを登録する際は、「Googleアカウント」、「Facebookアカウント」、「Appleアカウント」のうちどれかを使えば即時サインイン可能です(もちろん他のメールアドレスを利用しての登録も可能です)。私はGoogleアカウントを使って「Windows PC」、「Mac」、「IPhone」でサインインしましたが、実際に利用可能になるまでの作業時間はかかっても10分程度でした。
煩雑な設定は一切なく、初めてのクラウドストレージでも戸惑いにくい設計です。
ただし、以下のような注意も必要です。
UIはシンプルですが、用語の定義(例:”同期“と”バックアップ“の違いなど)に不慣れな方には初期設定完了までに一部で戸惑いがあるかもしれません。初期設定時には公式ヘルプの案内に目を通すと、より安心して進められます。
バックアップ時の柔軟性
pCloudの大きな特長の一つは、特定の専用フォルダに限定されず、任意のフォルダをそのままバックアップ対象に設定できる点です。筆者は業務用の「ドキュメント」や「デスクトップ」、外部HDDのフォルダも選択して運用してみました。
バックアップにはローカルドライブとしてマウントされる「pCloud Drive」機能が必要になりますが、PC上に仮想ドライブを作成し、ローカル感覚でクラウドファイルにアクセスできるため、動作も軽快です。

「pCloud Drive」というフォルダが作成されて、あたかもローカルPC上に保存されているかのように操作することができます。
総じてバックアップ時の柔軟性は高いですが、以下の点に注意も必要です。
この柔軟性は業務フォルダがPC内に分散している企業環境には特に有効ですが、一度に多くのフォルダを選ぶと初期同期に時間がかかる場合もあります。また、外部ストレージを対象にした場合、未接続状態で起動すると一時的にエラー表示が出るなど、多少の注意が必要です。
同期・バックアップの速度と安定性
筆者の利用環境(Wi-Fi接続、上り40Mbps)では、初回の約10GBデータ同期に30分程度を要しました。2回目以降は差分だけが対象となり、非常に高速です。
ExcelやPDF、大容量ファイルも問題なく同期できました。
ただし、法人でのご利用も想定し、以下に注意点も記載しておきます。
- 初回同期中はネットワーク帯域を多く消費するため、他の業務に影響が出る場面も。現時点では帯域制限の設定ができないため、必要に応じて作業時間を調整するなどの工夫が求められます。
- 同期状況はアプリ画面とタスクトレイで確認可能ですが、細かいログやプロセス単位の進行状況までは表示されません。技術系の担当者から見ると、より詳細な進捗確認があれば安心かもしれません。
バージョン履歴と復元体験
pCloudでは、ファイルの削除や上書きが発生しても、過去のバージョンを保持しており、復元が可能です。筆者も試しにExcelファイルを誤って削除し、Web画面から30分前の状態に復元。操作は3クリックで完了し、手間なく元に戻せました。
ただし、こちらも組織利用も想定し、注意点を記載しておきます。
- 無料プランでは履歴保持期間が15日間と短め。有料プランにすると最大365日まで延長されます。長期運用や組織でのファイル管理を考えると、実質的に有料プランの利用が前提となるケースも少なくありません。
- ファイルの世代管理数(上限)を自分でコントロールできない点も、運用上はやや気になるポイントです。
運用中の感想と法人導入視点での評価
pCloudは一度設定を終えれば、バックグラウンドで静かに稼働し、ファイルの変更を自動検知して随時バックアップします。再起動後も自動起動されるため、ユーザーが特別な操作を意識する必要はほとんどありません。
また、セキュリティ面でもpCloudでは2段階認証に対応しており、パスワードの強度チェックも実装されています。さらに、オプション機能であるpCloud Encryptionを導入すれば、端末側で暗号化を行い、運営元でも中身が見られないゼロ知識設計になります。

以下は、pCloud Encryptionがどれだけ安全かを検証する試みとして公式で紹介されています。結構強気だと思いましたが、それだけ自信があるということですね。

このように、「安心」「安全」が保証された状態で運用ができそうです。
ただし、「法人導入」という視点で考えてみると、以下のような注意も必要になりそうです。
- 企業向けに求められるような一括管理やグループポリシー適用機能などは限定的です。複数端末に導入する場合、それぞれの初期設定やユーザー管理が手動になる点は注意が必要です。
- 社員のITスキルにバラつきがある職場や、大学の研究室のような環境では、簡単な導入と“自動的に保護されている”という安心感がメリットですが、規模の大きな組織ではIT管理者による統合的な管理が求められる場面もあるでしょう。
法人・大学での活用例:こんな場面にpCloudが適している
レビューの章で、「法人利用の際の注意点」を記載はしましたが、やはりpCloudは個人ユーザー向けだけではなく、法人や大学などの組織利用にも適しています。以下はその具体例です。
- 研究データ・学会資料の管理
- 社内資料の共同編集や共有
研究データ・学会資料の管理
大学の研究室では、多数の文書ファイルや画像、音声データの保存が必要です。pCloudはファイルサイズの上限が無く、保存容量が柔軟であるため、大容量データにも対応可能です。ファイルの共有設定も細かく管理でき、学外からのアクセス制限も設定可能です。
社内資料の共同編集や共有
企業においては、部門間でのファイル共有や、外部パートナーとの安全なファイル転送が求められます。pCloudではリンク共有に有効期限やダウンロード回数制限を設定できるため、セキュリティ面でも安心です。
さらに、pCloudはファイルの履歴機能(過去15日分:無料プラン、最大365日:有料プラン)を備えており、万が一の誤削除や変更にも対応可能です。
他社クラウド製品との比較
pCloudと他社製品をいくつか比較してみましたので以下ご確認ください。
項目 | pCloud | Google Drive | Dropbox | OneDrive |
---|---|---|---|---|
最大容量 (個人向け) | 17.5TB | 10TB | 5TB | 1TB |
買い切りプラン(ライフタイム) | ◯(あり) | × | × | × |
PCバックアップ機能 | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
他社サービスの定期バックアップ | ◯ | × | × | × |
暗号化方式 | AES256bit + TLS1.2/1.3 | AES256bit + TLS | AES128bit + TLS1.2 | AES256bit + TLS1.3 |
ゼロ知識暗号化(Zero Knowledge) | ◯(有料オプション) | ×(キーは運営側管理) | エンタープライズのみ | × |
準拠規格・認証 | GDPR / ISO27001 / ISO9001 | SOC2 / ISO27001 | HIPAA / ISO27001 | GDPR / FIPS140-2 |
第三者へのデータ共有の可否 | × | ◯ | 条件付きで◯ | × |
2段階認証 | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
監査ログ(Business版) | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
過去のセキュリティ事故 | なし | API漏洩疑惑(2020年) | パスワード漏洩(2012年)、Signサービス侵害(2024年) | なし |
以下にポイントをまとめました!
- セキュリティ性
- pCloudはゼロ知識暗号化やGDPR対応、ISO取得でセキュリティ面が強い。他社で標準提供しているところもあるが、過去に重大な事件が報告された例もある。
- コストパフォーマンス
- 一度の支払いで使える「ライフタイムプラン」はpCloud独自で、長期的には最も安価。
- プライバシー保護
- スイス拠点のため、Five Eyes(米・英・豪・加・NZ)からの監視リスクが低い。
- 利便性
- バックアップや共有、仮想ドライブとしての使いやすさも高く、初心者にも扱いやすい。
次回以降のレビュー予告:バックアップ機能も徹底解説
本記事では、pCloudの基本的な概要と、実際に使ってみた印象をご紹介しました。
次回は、「クラウドバックアップ機能」にフォーカスして、どのような設定ができるのか、他サービスとの違いや実用性について詳しくレビューします。
さらに第3回では、「スマートフォン写真バックアップ機能」を取り上げ、スマホ写真や動画の自動保存機能、セキュリティ管理のしやすさなどを深掘りしていきます。
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まとめ:信頼性と使いやすさを両立したクラウドストレージ
pCloudは、スイスならではの高いプライバシー意識と使い勝手の良さを兼ね備えたクラウドストレージです。
特に、「DropboxやGoogle Driveはちょっと高い」「もっと軽くて安全なストレージが欲しい」と感じているビジネスユーザーや大学関係者には、pCloudは有力な選択肢となるはずです。
ぜひ次回の記事もチェックしていただき、業務や学術活動に最適な活用方法を見つけていただければ幸いです。