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🔐【レビュー】pCloud Encryption ― マニアが唸るゼロナレッジ暗号の真価とは?

本記事は、クラウドストレージサービス pCloud に搭載されている暗号化オプション機能に関するご紹介です。ご利用いただくには、pCloudのアカウント登録が事前に必要となります。

pCloudとはなんぞや、という方はこの記事からお読みください。

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なぜ今「個人の暗号化」が問われているか

クラウドストレージの普及により、写真・文書・設計図・契約書など、あらゆる個人・組織データがオンラインで保存されるようになりました。利便性の向上と引き換えに、「そのデータ、本当に自分以外に見られていないか?」という不安を抱えるようになった方も多いのではないでしょうか。

クラウド利用とセキュリティ不安
データ漏洩のリスク

特に、大手クラウド事業者による内部からの情報漏洩政府による閲覧要請など、ユーザー自身のコントロールが及ばないリスクが常に付きまといます。

このような中、注目されているのがゼロナレッジ暗号化(Zero-Knowledge Encryption)という考え方です。これは、事業者側が一切復号できない設計で、「サービス提供者はデータの中身をまったく知らない」状態を作り出すものです。

本記事では、筆者が実際に使用した「pCloud Encryption」というゼロナレッジ型の暗号化サービスについて、技術的背景や操作性、他製品との比較までを詳しくレビューいたします。

この記事を読むと分かること

この記事を読んでいただくと、pCloud Encryptionについて以下のことが分かるようになります。

この記事を読むと分かること
  • pCloud Encryptionについてどのような機能でどれくらい使いやすいのか
  • 信頼性が高いことの技術的な裏付けとは
  • 他サービスと比較してのメリットデメリットは何か

ではいきましょう!

クラウド時代における暗号化の本質とは

クラウドでのデータ保護には、通信中の暗号化(TLSなど)保存時の暗号化(at-rest encryption)の2種類があります。

通信中の暗号化と保存時の暗号化
暗号化の種類

多くのクラウドストレージサービスは、保存時の暗号化をサーバー側で実施しており、その場合、暗号鍵をサービス提供者が保持していることになります。つまり、万が一内部関係者がアクセスしたり、政府機関が閲覧を求めたりした場合には、復号が可能な構造になってしまいます。

一方、pCloud Encryptionはクライアント側での暗号化を採用しています。ユーザーの端末上で暗号化され、そのまま暗号化状態でクラウドに保存されます。復号鍵はpCloudには送信されません。

これが「ゼロナレッジ設計」の本質であり、他のクラウドストレージと大きく異なる点です。

pCloud Encryptionの特徴と使いやすさ

本章では、pCloud Encryptionの特徴とその使いやすさについて紹介します。なお、PCデスクトップ版のpCloud Driveでのご利用を前提に進めていきます。

まず、基本的な特徴は以下の通りです。

pCloud Encryptionの特徴
  • pCloudストレージの有料オプションとして追加できる機能で、「Crypto Folder」と呼ばれる暗号化専用フォルダを提供していること
  • ファイルの実データのみならずファイル名も暗号化されるため、メタデータから内容が推測されるリスクも低く、信頼性が高いこと
  • 「Crypto Pass」と呼ばれるフォルダロック用の専用パスワードを設定でき、pCloud側には一切保持されないため、ファイル自体の暗号化と合わせて二重でのセキュアな暗号化が実現できること
Crypto Pass入力によるロック解除画面
Crypto Pass入力によるロック解除画面

ユーザーインターフェースも非常にシンプルであり、ファイルをドラッグアンドドロップするだけで自動的に暗号化とアップロードが実行されます。

Crypto Passについても、一度設定した後にユーザーが忘れてしまった場合は回復ができなくなるので、忘れてしまうリスクを最小限に抑えるようにするための「事前警告表示」や「ヒントの設定」などのサポートが充実しています。この点も使いやすさのレベルを上げていると感じました。

事前警告文の表示
事前警告文の表示
MacでpCloud Driveを使う際の注意点

使いやすさという点では、pCloud Encryptionをお使いいただく際も他の機能と同様pCloud Driveでのご利用をおすすめしますが、Macでお使いいただく際に一つ注意点がございます。

macOSがpCloud Driveのシステム拡張(カーネル拡張)をブロックしていることがあるため、
特にセキュリティ設定が厳格化されているmacOS Ventura以降では、初回インストール後に明示的に許可を与えないとマウントできないことがあります。

もし上手く設定ができない場合は、以下の手順で解決できるかどうかお試しください。

  1. pCloud Driveを完全終了します。
  2. システム設定プライバシーとセキュリティ に移動します。
  3. 下のほうにスクロールし、「開発元“PCLOUD LTD”のシステムソフトウェアがブロックされました」という表示があれば、[許可] または [許可する] をクリックします。
  4. macOSが再起動を要求するので、そのまま再起動します。

技術的な裏付けと信頼性

pCloud Encryptionは、内部設計においても高いセキュリティ基準を満たしています。以下にその特徴や暗号化の手順を技術的視点で解説します。

PCloud Encryptionの特徴
  • 暗号方式:AES-256
  • 鍵導出:KDFによる鍵導出(詳細は非公開)。整合性検証にマークルツリーを採用
  • ファイル名やディレクトリ構造の暗号化
  • メタデータの保護
  • 暗号化と復号はすべてローカル(クライアント側)で処理
鍵導出及び暗号化フロー
pCloud Encryptionの暗号化フロー

特筆すべきは、pCloudが実施したCrypto Challengeという取り組みです。2016年にこのサービスが公開されて以来、ETH Zurichをはじめとする2000名以上の研究者・ハッカーに対して、pCloudの暗号を破ることができるか挑戦を募りました。

結果は6ヶ月間、誰ひとりとして解読できなかったという実績があります。このチャレンジは、pCloud Encryptionのセキュリティが理論だけでなく実証済みであることを示しています。

pCloud Encryption チャレンジの紹介(公式)
pCloud Encryption チャレンジの紹介(公式)

他の暗号化サービスとの比較

以下が他サービスで利用されているセキュリティ機能との比較です。

製品名暗号化
(転送/保存)
ゼロナレッジ暗号対応クラウド
統合レベル
UIの
使いやすさ
オープン
ソースか
モバイル
対応
pCloud
(専用仮想ドライブなど豊富な統合機能)
良好×
Google Drive×(※1)高(Google Workspaceとの深い統合)良好×
Dropbox△(※2)
(多数のサードパーティアプリと統合)
良好×
OneDrive×高(Microsoft 365との統合)良好×

注釈

※1 Google側が暗号鍵を保持しています。

※2 通常はゼロナレッジ非対応ですが、Boxcryptor統合で企業向けに対応予定があります。

このように、pCloud Encryptionは機能的にもセキュリティ的にも他のクラウドサービスと比べて非常にバランスの取れたソリューションです。ただし、弱点としてはソースコードが非公開であることがあります。

セキュリティの世界では、「コードを公開し、誰でも検証できる」ことが安全性の担保とされる傾向があります。pCloudは独自プロトコルを採用しているため、利用者は同社の信用と実績を信頼の拠り所とする必要があります。

導入例とユースケース

pCloud Encryptionは、個人・法人を問わず、機密性の高い情報を扱うユーザーに適しています。

pCloud Encryptionの利用が適しているユーザー
  • 個人利用:ジャーナリスト、フリーランス開発者、研究者など
  • 法人利用:法務部門、設計事務所、医療・教育機関など

また、Crypto Folder内のファイルは暗号化状態のまま共有することも可能です(※ビジネスプランに限る)。受信者側が復号パスワードを入力しない限り、内容にアクセスできないため、セキュアなファイル共有手段としても活用できます。

メリットとデメリット

メリット
  • ゼロナレッジ設計により、pCloudにもファイル内容がわからない
  • ユーザーインターフェースが直感的で使いやすい
  • ライフタイム(買い切り)プランでコスパ良好

注意点
  • 暗号パスワードを忘れると完全に復旧不能
  • オープンソースではないため、完全な透明性には欠ける
  • 暗号化されるのはCrypto Folderのみ

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実際に使ってみた感想として、「もっと早く導入しておけばよかった」というのが正直なところです。

業務PCの安全対策を考えている方には、ぜひ一度試してみてほしいと思います。

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結論:pCloud Encryptionは「信頼できる孤高の暗号ストレージ」

pCloud Encryptionは、利便性よりも「制御権の確保」に重きを置いたクラウド暗号化ソリューションです。

他人に見られるかもしれない」という不安から、「誰にも見られない」という確信へと導いてくれる、数少ない選択肢だと感じました。特に自分でパスワードを管理できる方、セキュリティの設計思想まで理解して使いたい方、外部からのアクセスや監視を本質的に排除したい方にとってはとても魅力的な製品だと思います。

pCloud Encryptionは、クラウドの利便性と、ローカル暗号化の安心感を両立できる、孤高の暗号ストレージです。

FAQ

よくあるご質問として以下にまとめます。ご参照ください。

FAQ

Q1: Encryptionは無料で使えますか?
A: いいえ。Encryptionは14日間のお試し期間を過ぎると機能が停止され、有料オプションを購入するまでは無効になります。

Q2: ファイル名も暗号化されますか?
A: はい。内容だけでなくファイル名やディレクトリ構造も暗号化されます。

Q3: パスワードを忘れたら復旧できますか?
A: できません。ゼロナレッジ設計のため、復旧手段はありません。必ず安全に保管してください。

Q4: 暗号化したまま共有できますか?
A: 個人プランではできません。暗号化状態の共有はpCloud Business専用機能です(通常フォルダの共有は可能ですが復号状態になります)。

Hidai

ひだい さとし(フルスタックWebエンジニア) フルスタックのWebエンジニアとして約3年間、システム開発に従事。業務のかたわら、「どうすれば生産性を上げられるか?」をテーマに、さまざまなソフトウェアやツールを日々試しています。 当ブログでは、仕事やプライベートのユーザー体験を向上させてくれるソフトウェアのレビューや活用法を発信中です!

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