目次
はじめに:同じ容量なのに、なぜ転送時間に差が出るのか
クラウドストレージを使っていて、「合計容量は同じはずなのに、アップロードやダウンロードにかかる時間が大きく違う」と感じたことはないでしょうか。
例えば、
- 200KBのファイルを1,000個転送する場合
- 20MBのファイルを10個転送する場合
どちらも合計容量は約200MBですが、実際の転送時間にははっきりと差が出るケースがあります。
この違いは、通信回線の速さやクラウドサービスの性能だけで決まるものではありません。「ファイルの構成」そのものが、転送効率に大きく影響しているのです。
本記事では、この現象がなぜ起きるのかを、クラウドストレージ全般に共通する仕組みとして解説します。そのうえで、実際の検証例としてpCloudを使った場合の挙動も紹介しながら、日常的なファイル管理で意識しておきたいポイントを整理します。
この記事を読むと分かること
- 同じ総容量でも、ファイルの数や構成によって転送時間が変わる理由
- 「数百KBのファイルが多いと遅くなりやすい」と言われる技術的な背景
- pCloudに限らず、クラウドストレージ全般で共通する転送効率の考え方
- pCloudを使う際に、転送効率を意識してファイルを扱うための実践的な工夫
- 実際に試して分かった、体感として差が出やすいポイント
ファイル転送は「容量」だけで決まらない
多くの方は、ファイル転送の速さは「回線速度 × ファイルサイズ」で決まると考えがちです。しかし実際には、そこにリクエスト処理の回数という要素が加わります。
小さなファイルを大量に転送する場合、クラウド側では以下のような処理が繰り返し発生します。
- ファイルごとの転送要求(リクエスト)
- 認証・権限チェック
- メタデータの処理
- 転送開始・終了の制御
これらは1ファイルごとに発生するため、ファイル数が増えるほどオーバーヘッドが蓄積していきます。一方、ファイル数が少なくサイズが大きい場合は、このオーバーヘッドを最小限に抑えられます。
その結果、合計容量が同じであっても、
- 小容量ファイルが多い構成
- 大容量ファイルが少ない構成
では、転送完了までの時間に差が生まれるのです。

これは特定のサービスに限った話ではない
ここで重要なのは、この挙動が特定のクラウドサービス固有の問題ではないという点です。
Google Drive、Dropbox、OneDrive、pCloudなど、どのクラウドストレージでも、基本的な通信モデルは共通しています。そのため、ファイル数が増えれば増えるほど、転送効率が下がる傾向は避けられません。
通信品質やサーバ配置、ルーティングなどの要因によって「全体として速い・遅い」という差は生まれますが、ファイル構成による効率差は、それとは別軸の話として存在しています。
実際に試して分かった「ファイル構成による転送体感の違い」
ここからは、実際に pCloud を使い、
ファイル構成の違いによって転送完了までの体感がどの程度変わるのかを試してみた結果を共有します。
今回の検証は、転送速度の厳密な数値比較を目的としたものではありません。
あくまで一般的な利用シーンを想定し、「使っていてどう感じるか」という観点で確認しています。
検証環境と前提条件
まず、今回の検証条件は以下のとおりです。
- 利用サービス:pCloud
- 回線環境:一般的な家庭用インターネット回線
- 転送方法:ローカルPC → pCloud へのアップロード
特殊な環境ではなく、
多くのユーザーが再現しやすい条件を意識しています。
パターンA:数百KBのファイルを大量に転送した場合
最初に試したのは、
数百KB程度のファイルを約1,000個まとめて転送するケースです。
転送を開始すると、すぐにアップロード自体は始まりますが、
- 進捗表示が細かく刻まれる
- ファイル数が減るまでに時間がかかる
- 「転送中」の状態が長く続く
といった印象を受けました。
特に、転送速度そのものが遅いというよりも、1ファイルずつ処理している感覚が強い点が印象的です。
一覧上でもファイルが少しずつ増えていくため、「まだ終わらないのかな?」と感じやすい挙動でした。
パターンB:数十MB〜数百MBのファイルを少数転送した場合
次に、ファイル数を抑え、サイズの大きいファイルを10個程度転送するケースを試しました。
こちらの場合、転送開始後は、
- 進捗バーが比較的スムーズに進む
- 転送中の待ち時間が短く感じられる
- 完了までの流れが分かりやすい
といった体感がありました。
総データ量はそれなりにあるにもかかわらず、「いつの間にか終わっていた」という印象に近いのが正直な感想です。
体感差が生まれる理由を、使ってみて理解できた点
この違いを実際に体験してみると、
「理屈として知っている話」が、かなり腑に落ちます。
小さなファイルが多い場合、
- ファイルごとに転送の開始・終了処理が発生する
- サーバ側の応答を待つ回数が増える
- 結果として、待ち時間が積み重なりやすい
という特徴があります。
一方で、ファイル数が少ない場合は、こうした細かな処理の回数そのものが抑えられるため、体感としてもスムーズに感じやすくなります。
pCloudを使っていて感じた「現実的な注意点」
なお、今回の検証を通して感じたのは、この話は pCloudに限った特殊な挙動ではない という点です。
クラウドストレージである以上、
- 海外サーバへの通信
- ネットワークの距離
- リクエストと応答のやり取り
といった要素は、どのサービスでも共通して発生します。
pCloudの場合も、ファイル構成を意識するかどうかで、使い勝手の印象が変わりやすいという、ごく現実的な結果だと感じました。
検証から見えてきた、実用的な気づき

今回の検証を通して得られた結論はシンプルです。
- 転送速度そのものをコントロールするのは難しい
- しかし、ファイル構成はユーザー側で工夫できる
- その工夫は、体感として十分な差になる
特に、写真やログファイルなど、小さなファイルが大量に発生しやすい用途では、事前にまとめておくかどうかで、作業効率が大きく変わります。
補足:pCloudについて
なお、今回の検証で使用した pCloud 1については、Download GoGo!のようなストレージの仕様や料金プラン、基本的な使い方などが日本語で分かりやすく案内されているサイトもあります。
実際に試してみたい方は、こうした情報を参考にしてから触ってみると理解しやすいでしょう。
転送効率を意識したクラウド活用という視点
本記事で紹介したようなそもそもの仕組みを理解しておくと、日常のクラウド活用で無理のない工夫ができるようになります。
例えば、
- バックアップ用途では、細かいファイルをそのまま置くのではなく、ある程度まとめる
- アーカイブ用途では、フォルダ単位で圧縮してからアップロードする
といった方法を取ることで、転送時間や失敗リスクを抑えやすくなります。
これは「速度改善テクニック」というより、クラウドの仕組みに合わせた使い方と言えるでしょう。
まとめ:ファイル構成を知ると、クラウドはもっと扱いやすくなる
クラウドストレージの転送速度は、回線品質やサーバの性能だけで決まるものではありません。ファイルの数と構成という、ユーザー側でコントロールできる要素も大きく影響します。
同じ容量であっても、「小さなファイルを大量に扱うか」、「ある程度まとめて扱うか」によって、体感は大きく変わります。
今回紹介した考え方は、pCloudに限らず、あらゆるクラウドストレージで応用できます。仕組みを理解したうえで使い分けることで、クラウドはより快適で信頼できるツールになります。
🔗あわせて読みたい
本記事で紹介したような「豆知識」として使えるような内容を以下の記事でも扱っています。参考にしてください。
- pCloudのメールアドレス変更・移行を解説|アカウント削除が適さない理由とは
- pCloudの「データリージョン」設定を徹底解説:EU/USリージョンの違いと選び方
- デジタル防災のススメ〜他サービスのバックアップ先としてのpCloud利用〜
注釈
- pCloudについて「ビジネスに最適なクラウドストレージ「pCloud」とは?〜スイス発の高セキュリティなストレージをレビュー〜」で概要を解説、レビューしています。 ↩︎
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