超小型なのに超ハイスペックで超コストパフォーマンスな超ミニPC「GMKtec EVO-T1」試用レポート

目次
ええっ?このスペックで10万円台?うっそ~ん!

ここ数年、一般市場でもハイスペックなPCが手の届く価格で出回るようになりました。
一昔前までは「パソコン=デスクトップ」という時代が確かにありましたが、今やノートPCが圧倒的多数派。家でも職場でも、薄くて軽いノートを開く姿が当たり前になりました。
とはいえ、ノートPCの宿命として――画面サイズには限界があります。
長年デスクトップを使ってきた人なら、きっと使い慣れたディススプレイが、部屋の片隅で「出番待ち」をしていることでしょう。
そんな中、静かに存在感を増しているのが「ミニPC」という新たな選択肢。
手のひらサイズなのに、立派に「中身は本格派」。
しかも最近では、性能面でも侮れないモデルが次々登場しており、小さなボディに大きな闘志を感じさせます。
カワユス見た目に反して、やるときはやる、オレンジ色のニクい奴です。筐体はオレンジじゃないけど。
小さな巨人?ミニPCの魅力を改めて見直してみる

「ミニPC(Mini PC)」と聞くと、単なる「小さいパソコン」という印象が先に浮かびますが、実際どんなものなのか、意外と知られていません。ここでは改めて、ミニPCの特徴を整理してみましょう。
サイズのバリエーションについて
スティック型
USBメモリのような極小サイズで、HDMIポートに直接差し込んで使うタイプ。筆者が知る某企業では、コスパ重視で大量導入したものの、OSアップデートで動かなくなり、結局すべて買い替えたという悲喜こもごもの逸話があります。世の中、安さには理由があるのです。
手のひらサイズ型
その名のとおり、手のひらにすっぽり収まるミニ筐体。当然、足の裏よりも小さい——そんなイメージです。
薄型デスクトップ型
据え置き型ながらも省スペース設計。Mac Miniのように、シンプルな見た目で机の上をすっきりさせたい人に人気があります。
使い道いろいろ
汎用タイプ
Wordやブラウザ、メールなど日常業務に使う一般的なパソコン用途。OSはWindows・macOS・Linuxなど。よーするに普通のPCと同じです。
特化タイプ
IoTゲートウェイやミニサーバ、ゲーム用など、特定の目的にチューニングされたモデルもあります。
ミニPCのメリット
まずは省スペース。机の上に置いても邪魔にならず、テレビ裏に設置することも可能です。
また、低消費電力で静音性が高いのも魅力。持ち運びやすさも相まって、ちょっとした外出先作業にも便利です。
そして、弱点も
高性能グラフィックボードや拡張カードを積みにくいため、拡張性と性能面ではデスクトップに劣ります。
ただし、最近のモデルはこの弱点をかなり克服しており、「少し前のハイスペックノート」並の性能を持つものも増えてきました。
筆者の実感
筆者も原稿執筆や画像編集、そして「いまだ来ない漫画雑誌からのオファー」まで、1台のPCでなんでもこなしています。しかし、最近では処理が重く、そろそろシステムが悲鳴を上げそうな気配。
サブ機、あるいはメインが突然昇天したときのバックアップ機がほしい——そう考えるようになりました。
「そこそこ動いて、手頃な価格のミニPC」なんて存在するのか?出先でもサクサク動く安価で高性能なミニPC……?ほええ?
夢のようですが、どうやら現実は小説よりも奇なり。ついに登場したのです(ただし、「安価」の定義には個人差があります)!
超高性能!Intel Core Ultra 9 285H搭載のミニミニPC「GMKtec EVO-T1」が爆誕ッ!

「GMKtec EVO-T1」は、「ミニPC」にも関わらず、超高性能なCPUを搭載し、内蔵グラフィック性能もそこそこ高性能で、本体のみでもカナーリ生成AIに対応可能な「ハイスペック・ミニPC」です。
……さてさて、「AI対応・ハイスペック・ミニPC」と聞いて、そもそも「AIって何ができるの?」「ハイスペックってどのへんが?それって美味しいの?」と思う方も多いかもしれません。
今回ご紹介する 「GMKtec EVO-T1」 は、その名の通り「小さくても賢く、気は優しくて力持ち」な1台なのです。
「EVO-T1」は、最新の Intel Core Ultra 9 285H プロセッサーを搭載しています。

このCPUは、パフォーマンスコアと効率コアを組み合わせたハイブリッド構成で、最大5.4GHzで動作します。
さらにAI専用の「NPU(ニューラル・プロセッシング・ユニット)」を内蔵しており、画像処理やAI支援タスクの高速化も実現しています。
つまり、オフィス作業やブラウジングだけでなく、AIアプリケーションの実行や動画編集、軽めの3Dゲームまでこなせる、まさに「万能型ミニPC」です。

グラフィックスは Intel Arc Graphics(140T) を採用しています。

ミニPCは基本的に外部グラフィックボードをそのまま装着できませんが、この内蔵GPUは性能が高く、フルHD程度の解像度なら多くのゲームをスムーズに動かすことができます。
さらに、Oculinkポート(PCIe Gen4 x4)を搭載しており、対応デバイスを用いれば外部GPUを接続してゴリゴリに性能を拡張することも可能です。

「最初は内蔵GPUで十分、でも後から強化したい」という方にも安心の設計です。
メモリは DDR5 64GB(最大128GBまで拡張可能)、ストレージは 1TB PCIe 4.0 SSD(最大8TBまで対応) を搭載しています。

また、M.2スロットを複数備えており、デュアル構成でSSDを追加することもできます。
このコンパクトな筐体にこれだけの拡張性があるのは驚きです。
通信機能も抜かりなく、Wi-Fi 6 と デュアル2.5G LANポート を搭載しています。
ゲームや動画ストリーミング、大容量データの転送なども高速で安定して行うことができます。
映像出力は USB4、HDMI 2.1、DisplayPort 1.4を装備しており、最大4画面の同時出力に対応しています。
デスクトップ環境をマルチモニターで構築したい方にも最適です。
外観はアルミ合金ボディで高級感があり、冷却ファンにはLEDイルミネーションを採用しています。
控えめながらも、デスク上で「できる機械」としての存在感を放ちます。
……と、ここまででもうお分かりかと思いますが、「GMKtec EVO-T1」は単なる「ミニPC」ではありません。
AI支援、拡張性、グラフィック性能、デザイン性のバランスが高く、「仕事も遊びもそつなくこなす、頼れる小型オールラウンダー」です。
仕様
パラメータ | 詳細 |
---|---|
モデル名 | EVO-T1 |
CPU | インテル® Core™ Ultra プロセッサー (シリーズ 2) • 16 コア / 16 スレッド (6P+8E+2LP ハイブリッド アーキテクチャ) • TSMC N3B プロセス • 最大 5.4 GHz • 24 MB L3 キャッシュ • TDP: 45~80W (最大設計 80W) • 全体のピーク TOPS (Int8): 99 TOPS |
CPUモデル | ウルトラ9 285H |
CPUソケット/パッケージ | FCBGA2049 50 mm x 25 mm |
グラフィックプロセッサ | Intel® Arc™ 140T GPU • 最大動的周波数: 2.35 GHz • GPU ピーク TOPS (Int8): 77 TOPS |
NPU | インテル® AI ブースト • NPU ピーク TOPS (Int8): 13 TOPS |
メモリ(RAM) | 2×DDR5 SO-DIMM デュアルチャネル • 32GB×2=64GB 5600 MT/s • 最大 DDR5 6400 MT/s をサポート |
プライマリストレージ(ROM) | 3×M.2 2280 PCIe4.0×4 SSD • 1TB/2TB |
内部ストレージ拡張 | 3×M.2 2280 PCIe4.0×4スロット • 最大合計ストレージ容量: 24TB (84TB×3) |
ビデオ出力 | HDMI 2.1×1+DP1.4×1+USB4×1+Type-C×1経由 • 同時4画面出力をサポート • HDMI 2.1: 8K@60Hzまたは4K@120Hz (CECをサポート) • DP 1.4 (DP++をサポート) |
ネットワーク | WiFi 6 (AX201) • 最大速度: 2.4Gbps • Bluetooth 5.2 |
力 | • ボタン電池内蔵 • 充電器: DC IN 19V/7.89A 150W 最大 |
フロントI/O | • 1×3.5mmコンボオーディオジャック • 1×USB3.2 Gen2 Type-C(PD/DP/データ) • 3×USB3.2 Gen2 Type-A • 白色LED付き電源ボタン • CMOSクリアボタン |
背面I/O | • 1×5.5×2.5mm充電ポート • 1×3.5mmコンボオーディオジャック • 1×HDMI 2.1 • 1×DP 1.4 • 1×Oculink(PCIe Gen4×4、ホットプラグ非対応) • 2×USB2.0 Type-A(スタック型) • 2×2.5G LAN(Realtek 8125BG) • システムファン/LEDコントロールボタン(13種類の照明効果) |
あなた | ウィンドウズ11プロ |
寸法 | • 154*151*73.6mm • 910g (ベアメタル重量) |
主な特徴 | • 182W以上のパフォーマンススコアを備えたAIデスクトップコンピューティングセンター • 3つのパフォーマンスモード:サイレント(35W)、バランス(54W)、パフォーマンス(80W) • VC放熱とインテリジェントファンコントロールを備えたデュアル冷却システム • 高速ネットワークのためのWiFi 6 +デュアル2.5G LAN • クアッドディスプレイサポート(4K同時出力) • 外部GPU拡張用のOculinkインターフェース • 32B DeepseekローカルAIモデル内蔵 |
さあ、それでは細かいスペックの話はこのあたりにして——
次は実際に、「GMKtec EVO-T1」の実機をチェックしていきましょう!
超ハイスペック・ミニPC「GMKtec EVO-T1」を試用してみました!

外箱は手のひらサイズよりひと回り大きめですが、持った瞬間に「詰まっている感」があります。開けると、本体のロゴはシンプルで、金属感のあるボディが上品です。アルミ合金パーツを含む筐体で、見た目も触り心地も上質です。
ポート周りを一周


本体には、HDMI 2.1(8K@60Hz / 4K@120Hz)、DisplayPort 1.4、USB4(Type-C)、USB 2.0 ×2、デュアル2.5GbE LAN、Oculink(PCIe Gen4×4)、3.5mmオーディオなどを装備しています。前面はUSB-C(PD/DP/データ対応)、USB 3.2 Gen2 ×3、3.5mm、LED付き電源ボタンという実用的な並びです。最大4画面同時出力にも対応します。家庭用でも仕事用でも“足りない”が出にくい構成です。
Oculink は外部GPUユニット(eGPUケースやPCIeブリッジ)と直結できる拡張端子です。内蔵GPUで始めて、必要になったら外付けで底上げできるのは安心感があります。
付属品と説明書

同梱物は、付属品と説明書/電源ケーブル/VESAマウント金具など。説明書は多言語で、日本語も含まれています。付属のマウントでモニター裏固定も簡単です。


さっそく初期設定
電源投入時は英語表示の場合もありますが、日本語へすぐ切り替えられます。アカウントは Microsoft アカウントでもローカルでも運用できます。海外製ミニPCあるあるで、初期のキーボード配列が英語になっていることがあるため、日本語(106/109)へ変更しておくと記号入力で迷いません。
(Windows 11:「設定」→「時刻と言語」→「言語と地域」→日本語のオプション→「ハードウェア キーボード レイアウトの変更」)
VESA 取り付けのコツ
底面のゴム足とネジを外して金具を装着する方式です。片側だけ外せば固定できますので、勢いで全部外してしまわないようご注意ください。説明書どおりに進めれば難しくありません。
使ってみた所感とベンチの目安
- CPUパワーは非常に高く、動画編集や重めのマルチタスクも余裕がありました。
- AI処理は NPU + GPU + CPU の合算で最大 約99 TOPS(INT8) とされ、ローカルAIの実行でも優位です。
- 内蔵GPU(Arc 140T)はフルHD帯の軽~中量級タイトルなら十分に遊べますが、AAAの高画質は苦手です。必要なら Oculink で外部GPU を増設する運用が現実的です。
- 4画面出力やM.2×3の増設、CPUの3モード(静音/バランス/パフォーマンス)の切替など、拡張性と実用性が高いのが特徴です。一方で、CPUモードのモード切替がBIOS画面からしか設定できないので、そこがやや面倒かもしれません。
内藏グラフィックならフルHDであれば、まあまあ3Dゲームもそこそこ楽しめます。



内蔵ビデオカードの結果はフルHDで普通。
手持ちのRTX5080をocculinkで接続してFFベンチを回したら4Kでも超高速でした。



総評
EVO-T1 は「小型なのに長く使える」を地で行く1台です。
最初は内蔵GPUでスマートに、将来は Oculink で伸ばす――そんなプランが組めます。メモリ最大128GB/M.2×3という「余白」が、買い替えサイクルを伸ばしてくれます。AI・クリエイティブ・開発用途の据え置きミニワークステーションとして、サイズ以上の価値を感じられることでしょう。
製品リンク先
EVO-T1 64+1TB
https://www.amazon.co.jp/dp/B0FH4M1SZM
EVO-T1 64+2TB
https://www.amazon.co.jp/dp/B0FH4NZ6DX
EVO-T1 96+2T
https://www.amazon.co.jp/dp/B0FJFM8WC1