漫画家の面目躍如!?絵を一切描かないで4コマ漫画を描くことはできるか(後編)

高性能・高品質なPCが、一般市場に出回るようになって久しい今日この頃ですが、近頃「生成AI(Generative AI)」なるものが世間を大いに賑わしています 。
例えば、どんなに世情に疎い人であっても、「ChatGPT」なるサービス名くらいは聞いたことがあるのではないでしょうか。筆者も毎日喜々として利用しております。
さて、最新の「ChatGPT」は、ある程度のキャラクター固定が可能になってきました。そうなると、いよいよ実際に自分の手で絵を描かなくても、「3コマ漫画」くらいは作ることはできるんじゃないかい?…という欲望がムクムクと起き上がってくるワケです。
そこで本記事では、絵を一切描かないで3コマ漫画を描くことはできるのかどうか、前回に引き続き、チャレンジしてみたいと思います。
目次
セリフ込みで、希望通りの漫画のコマを作成することはできるのか?
では、まず、普通の漫画のうち、まずは手始めに、ひとコマ漫画は実際描けるのかどうか試してみます。
描かせてみたい、シチュエーションを詳細に入力してみましょう。キャラクターの概要は前回、「ChatGPT」に覚えこませてはいるものの、細かいシチュエーションや、詳細なキャラクターの特徴も書き足しておきました。こうしておくことで、髪型や髪色や背景、舞台などがコロコロ変わるのを防ぐことが出来ます。
「A美とB子が学校で仲良くだべっている。
状況説明:
放課後の教室。夕日が窓から差し込む中——
机に肘をつきながら、笑い合うふたり。
周りの生徒たちはすでに帰り支度をしているけれど、
この二人だけは、まだまだ話が尽きそうにない。
教室の隅、ぽつんと残った机で、
おしゃべりに花が咲く、仲良し女子ふたり組の青春のひととき。
シチュエーション: 放課後の教室
時間帯: 夕方、窓からオレンジの光が差し込む
キャラ配置:
A美:髪はミディアムボブ、髪色は黄色、眼鏡を着用、明るめの性格、机に乗り出すように話す
B子:髪はミディアムボブ、髪色は赤、落ち着いた雰囲気で笑いながら聞いている
二人とも夏のセーラー服
二人の机はくっつけてあり、お菓子の包みがちらっと見える
背景:窓際、黒板、帰り支度をしている他の生徒のシルエット
セリフ(吹き出し):A美「でさー!あの先生、絶対見てたって!」
B子「わかる〜、目がニヤニヤしてたもんね!」
アニメ風に学園日常系で描いてください。」

セリフが文字化けしていたので、「セリフの文字化けがあったので文字を以下に差し替えて
A美:「でさ〜、あの先生、絶対気づいてたよね?」
B子:「だよね!目がニヤッてしてたもん!」
セリフ以外は全てそのままにして」と修正指示を入力しました。上手く修正できたようです。

「あの」「絶」の文字が怪しいですが、今のところ、どうも画数の多い漢字や、一部のカナ文字の表示は、生成AIは苦手なご様子。んでもって、出来上がった1コマ目画像がこちら。

なんか元画像より書き込みが増え、キャラクターの精度が増しましたが、好みの画風なので、今後はこのキャラクターデザインで行くことにして、このままズンズン進めていくことと致しましょう。
残りのコマもオチも勝手にAIに考えせて!
さて、次のコマ以降もAIに作らせようと思いますが、最近、漫画を描くのが億劫になっただけでなく、話やオチを考えるのさえも面倒くさくなってしまいました。
「もうお前なんか死んでしまえ」、と思われるかもしれませんが、これはあくまでも今回の記事執筆の為に、あえてAIの限界を調べるためなのです。本意ではないのです!(嘘)
「次のコマのネタをセリフ込みで考えて」と指示すると、以下の回答が出てきました。
「次のコマの展開として、「話が思わぬ方向に脱線して盛り上がる」という流れがおすすめです。以下のような内容でどうでしょう:
シチュエーション:
少しテンションが上がったA美が身を乗り出し、B子がツッコミを入れる。
ふたりの間にはいつの間にかペットボトルのジュースも追加されている。
A美(興奮気味に):
「てかさ〜、あの先生、昔アイドルだった説あるくない!?」
B子(半笑いでツッコミ):
「え、ちょっと待って!急にどうした!?証拠ゼロ!!」
この後さらに妄想が暴走して、黒板に「元アイドル教師疑惑」とか書き出しても面白いです。
続き考えましょうか?」
この内容で描いてもらいましょう。「この内容で描いて」でエンターキー。

2コマ目の画像が出来ました。キャラクターも服装も、全部引き継いでいる!凄い!

漫画のオチも生成AIにお任せ
3コマ目のオチも考えてもらいましょう。「次のコマはオチとしてのネタをセリフ込みで考えて 二人にも動きを入れて」を入力した所、以下の回答が出力されました。
「オチのコマとして、「先生が背後に立っていて全て聞かれていた」という鉄板だけど効果的な展開をおすすめします。ふたりのリアクションにしっかり動きをつけると、締めとして映えます。
シチュエーション:
二人が盛り上がった直後、背後の窓際に先生が無言で立っていたことに気づく。
驚いて固まるふたり。
先生は笑みを浮かべて黒板に「元アイドル疑惑 否定せず」と書いて立ち去る。
セリフ・動き付き構成:
A美(口を開けてフリーズ、ガタッと椅子をずらして立ち上がり気味):「……え」
B子(顔を青ざめさせ、ジュースを倒しかけながら後ろを振り向く):「う、うしろ……!!」
コマ内ではA美の動きが派手で、B子はリアクションで目立つ、先生は静かなインパクトという対比が生まれます。
このまま描いてみますか?」
描いてみてもらいましょう。「はい。」もしくは「描いて」と言った支持を出してでエンターキー。

キチンとオチが付きました。生成AI、凄い!
再度、3つのファイルをChatGPTに読み込ませて、「1つの三コマ漫画にして」と指示を出すと、「3コマ漫画として画像を結合しました。以下からダウンロードできます:」というメッセージが出て、結果をダウンロードすることが出来るようになりました。統合された漫画データがこちら。

何もつなげ方の指定をしないと、横につないでしまう様です。流石は洋物サービス。「縦に繋いで」と指示をすると、画像が見切れてしまいました。
「1つの3コマ漫画にして。コマの枠線も付け足して縦につなげて 全コマが見切れない様、縦長の画像にして」と指定すると、コマをちゃんと繋いでくれました。良かった。

この辺、すんなりいかないのは今後の課題かもしれません。
コマ割りを漫画作成ソフトである「Clip Studio」や、画像編集ソフト「Photoshop」などでコマ割りした中に、画像を流し込む、という方式の方が、直観的かもしれません。
また、使っていて気がついたのですが、セリフの文字は、まだ結構文字化けする確率が高いです。吹き出しの文字の内容に凝りたい場合は、これも上記ソフトで、別途入れた方が良いかもしれません。
実際に完成した作品は以下のようになりました
実際に完成した作品は、
- キャラがぶれることなく一貫している
- 吹き出しと表情がマッチしていて“感情”が伝わる
- 会話も自然で、まさに“漫画”の体裁になっている
と、かなり満足がいくものとなりました。
従来の漫画だったら、ネーム・作画・トーン処理…と何日もかかっていた工程を、たった数時間で完了できてしまった、という意味でも革命的です。画期的です。筆者が漫画の断筆をするのにもう充分です。
いずれは本サービス単独で、全てがワンストップで行えるようになると良いですね。
ではでは。