
世界中にインターネットが普及し、高度なテクノロジーが発達したこの現代では、コンピューターの主なデータ保存場所のトレンディエンジェルが、大きく変わりつつあります。
これまでは、作成したコンピューターのデータを、「ハードディスクドライブ」や「SSD」などの内部物理ストレージ、もしくは「USBメモリ」や「SDカード」などの外部物理ストレージに保存するのが至極一般的でしたが、ここ最近は、いわゆる「※クラウドストレージ」上に情報を保存、もしくは物理ストレージへの保存とクラウドストレージへの保存を併用する事が、当たり前田のクラッカーになっている事を実感している人は、割と少なくない多めの事実ではないかと思います。
※「オンラインストレージ」と呼ばれる事もありますが、本稿では「クラウドストレージ」で統一致します。
そして、その「クラウドストレージ」では、保存されたファイルを保存するには、ちょっと「ふてほど(2024年『新語・流行語大賞』受賞『不適切にもほどがある!』の略語)」なコンテンツを「検閲」する仕組みが導入されているのが一般的です。
例えばGoogle Driveでは、システム側で著作権侵害と判断されたファイルについて、そしてMicrosoft OneDriveやFacebook、Instagramでは、児童ポルノや暴力的なコンテンツの検出に特化したアルゴリズムである、後述の「PhotoDNA」を使用しており、ユーザーがこうしたコンテンツをアップロードした場合、自動的に削除されたり、アカウントが停止や抹消をされたり、最悪、お巡りさんにタイ━━━━||Φ|(|´|Д|`|)|Φ||━━━━ホ!!される可能性が無きにしも非ずんば虎児を得ず。WeChatやバイドゥクラウドでは、中国政府が検閲をしているのではないか、と言われています。
※ちなみにGoogleでは、著作者が著作権侵害の可能性があるコンテンツを、検索結果から除外することを求めるためのフォームが用意されています。これは、「デジタル ミレニアム著作権法(DMCA: Digital Millennium Copyright Act)」の推奨フォームに沿ったものです。Google は、もし削除依頼を受けたら、慎重に審査を行い、削除に当たると判断されたら、検索結果から該当の URL を除外して(゜д゜)ウマーな仕組みになっています。
Google Report content著作権侵害による削除フォーム
ここだけの話、 YouTubeでは、YouTube Studioの左側のメニューから「著作権」→「新しい削除リクエスト」をくりっくして申請が可能です。
では、何ゆえにほとんどの「クラウドストレージ」では「検閲」が行われなければならないのでしょうか。 そしてその「検閲」は、ユーザーが納得できるレベルのものなのでしょうか。過剰に恣意的な主義思想が含まれていたりはしないのでしょうか。
そもそもセキュリティと「検閲」は、一見相反するものと思われますが、その折り合いはどのようにつけているのでしょうか。様々なクラウドストレージサービスの中から、適切なものを選びうることが可能でしょうか。
そこで今回は、クラウドストレージの「検閲」の仕組みについて、ゆっくり解説をしてみたいと思います。
目次
そもそも論、 「クラウドストレージ」とはいったい?

「クラウドストレージ」とは、コンピューターのデータをインターネット上に保存する為のストレージです。
これまでのコンピューターは、本体もしくは外付けの、物理的ストレージにデータを直接保存せざるを得ませんでしたが、クラウドストレージを利用する事で、インターネットに繋がった他のPCだけでなく、スマートフォンやタブレットなどの様々なデバイスからでも、容易にアクセスが出来るようになりました。
クラウドストレージには、代表的なものに以下が挙げられます。
pCloudは、高度なセキュリティとプライバシー保護に対応した、スイス発のクラウドストレージサービスです。
2023年に、総務省の指針に基づいて設置された「ASP・SaaSの安全・信頼性に係る情報開示認定制度」及び日本のクラウドサービス業界団体である日本クラウド産業協会(ASPIC)から「クラウドアワード2023 審査委員会賞」を授与されるなど、安全性や信頼性が高く評価されています。
特筆すべきは、最大17.5TBまで拡張可能な買い切りプランです。
この手のクラウドストレージは、そのほとんどがサブスクリプションでしか申し込めないのですが、pCloudは、一度お金を払ってしまえば一生涯利用可能(もしくは99年間のどちらか短い方)なプランがあるのは実に魅力的です。
また、データ転送中及び保管中のデータは、AES-256ビットの暗号化(ほぼ解読ができない、すごい暗号化技術)が施されており、更にTLS/SSL(共にインターネット通信中のデータを暗号化する、素敵な技術)プロトコルに対応しているのでお母さんも安心です。PC中のデータのバックアップ機能もついていてお得です。これはもう、加入するっきゃナイト?


「クラウドストレージ」を利用するメリットについて

「はて。」もとい、さて、クラウドストレージを利用するにあたっては、以下のメリットを享受出来ます。
- 容量をスケーラブル(拡張性を持つ、増減しうる)に増減可能
クラウドストレージは、任意の目的にあわせて、容易にストレージ容量を変更可能です。物理ストレージは、容量を増やす必要に迫られた場合、媒体の買い足しをしなければならなかったり、交換する手間と時間の無駄が発生致しますが、クラウドストレージならば心配無用ノ介。
容量変更プランを選択する事で、契約の範疇で、容量を必要な時に好きなだけ、増減させる事ができます。また、物理ストレージと違い、媒体交換時に必須の、面倒なデータ移行作業も不要です。
- データを自動的にバックアップしてくれる
物理ストレージ内のデータと、クラウドストレージ内の情報を同期させるツールが提供されている場合は、特に意識する事なく自動的にデータのバックアップが出来る為、データの紛失や破損が起きた際のリスクを劇的に減らす事が出来ます。
例えば、Microsoft officeとOne Driveを連携させている場合は、作成したWordやExcelのファイルの保存ボタンをこまめに押下せずとも、自動的にデータを保存してバックアップしてくれる仕組みがあるので、ウッカリさん、もといひょっこりはんにはお勧めです。
- ストレージの故障の心配をする必要が(ほぼ)ない
物理ストレージは消耗品につき使い続けていれば、いずれは故障して動かなくなってしまいます。その場合、壊れる前に新しいストレージを購入して、データを移し替える必要がありますが、これがまた非常に面倒がクサイです。そこでデータの保管先をオンラインストレージ宛てに置き換える事で、サービス提供元が代わりにメンテナンス作業を裏でやってくれるので、煩雑な作業から解放されます。
- ファイルやフォルダの共有が可能
所定の手順を踏めば、ファイルやフォルダを簡単に他の人のデバイスからも確認が出来るので、情報の共有化に最適です。
- データの安全性が高まる
クラウドストレージのサービス提供元が、よほどのチョンボをしない限り、データが失われる事はまずありません。もちろんユーザーが自分から、データを積極的に消しに言った場合はその限りではありません。とはいえ、一旦ファイルを削除しても、ある程度の日数は、過去の履歴を追えるサービスを提供している場合が多いです。
「クラウドストレージ」を利用するデメリットについて

「クラウドストレージ」は、多くのメリットがある反面、デメリットもあります。
- セキュリティリスクが発生する
インターネット経由でデータを扱わざるをえない為、コンピューター内で完結するデータのやり取りよりは、ハッキングをされたり、情報漏洩のリスクがビミョ~にある事は否めません。その為に通常は、クラウドストレージ側で、「AES256bit暗号化」などの暗号化がおせっせと行われます。
※「AES256bit暗号化」については、過去の記事をご参照ください。
- ネット回線の通信速度に左右される
データのアップロード・ダウンロードにはインターネット接続が必要なので、通信速度が遅い場合はイライラしてしまいます。こればかりはどうしようもないので、あまりにも我慢できないのであれば、高額にはなりますが、専用線を引くことをお薦めいたします。
- コストがかかる
通常、クラウドストレージの無料プランには容量制限があり、大容量を使用したい場合には追加料金が発生します。ただし有料プランであったとしても、物理ストレージの様に買い切りではなく、そのほとんどがデータ保存容量に応じたサブスクリプション(月単位または年単位で定期的に料金を支払って利用するサービス)であるのが普通です。
ちなみに「pCloud」は、この手のサービスには珍しく、サブスクリプションだけではなく、買い切りプランもあるのでオススメです。「pCloud」は、この手のサービスには珍しく、サブスクリプションだけではなく、買い切りプランもあるのでオススメです。大切なことなので二回言いました。
- 契約解除をするとデータは消えてしまう
クラウドストレージの契約を解除すると、そこに保存されていたデータはアクセス出来なくなるので、事前に物理的ストレージにバックアップし直すなどの用意が必要です。
これらのメリットとデメリットを充分認識、比較した上で、自分で情報の真偽を取捨選択して、信じる道を信じて、 「クラウドストレージ」の利便性を享受するユーザーが急増してきた訳です。
なんでまた「クラウドストレージ」は「検閲」をしているの?

誰もがハレ晴レユカイで楽しく利用出来るのが、クラウドストレージの妙ではありますが、大手のクラウドストレージのサービスでは通常、規約に従い 、必要に応じて警告を発する、もしくは削除をする、と言った何かしらの「検閲」をしている旨が規約に記載されているのが普通です。
iCloudについては、規約からは検閲の有無については確認出来ませんでした。
※過去には、iCloud写真に対して検閲の検討をされた事もあった様ですが、世論の反対が多く、実現しなかったようです。
また、極少数ではありますが、検閲なしのクラウドストレージ(運営側が暗号化に対する共通鍵を持たない、「ゼロ知識証明」を標榜しているクラウドストレージ)もあります。
Tipstour(チップストアー)/検閲のないクラウドストレージはあるのか?各社利用規約を確認してみた【2024年9月】
今日からIT入門!脱パソコン初心者/クラウドストレージサービスを検閲なしで使えるサービスを検討してみた件
「検閲」を行うとされている各クラウドストレージサービスも、技術的な手法を、事細かに規約で記しているものはなく、弾力的に対応が行われている様です。
「クラウドストレージ」の「検閲」理由

ユーザーにとっては、クラウドストレージに保存したデータの中身を検閲されてしまうのは、一応規約に納得して加入をしたつもりとは言え、あまり気持ちの良いものではありません。それなのになぜ、わざわざ「検閲」を行うのかについては、いくつかの理由が考えられます。
- 不正利用の防止
クラウドストレージは、データ共有が可能なその性質上、インターネット詐欺や違法取引に使われる可能性がゼロではありません。よって、犯罪の温床になるのをそのまま見過ごす訳にはいかないのです。
- 法律の遵守
クラウドストレージは、全世界各国で利用が可能なその性質上、特定の国にとっては違法となるコンテンツ(児童虐待・著作権侵害になるもの、ヘイトスピーチなど)のデータのやり取りに使われる可能性がゼロではありません。
いずれも、場合によっては、サービス運営側が責任を取らされる可能性があります。
これらのリスクを回避する為に、「検閲」が行われる可能性があります。
「クラウドストレージ」が「検閲」される事のデメリットについて

クラウドストレージのサービス運営側が、必要に迫られて「検閲」を行う場合、いくつかのデメリットが存在します。
- 利用者のプライバシーを損なう可能性
「検閲」を行うという事は、多かれ少なかれ、利用者のプライバシーを損なうことになりかねないリスクがあります。規約に記載をしているからだとしても、トラブルを招く原因にもなりかねません。
念のためユーザーとしては、あまり「プライバシーが懸念される個人情報」が含まれているファイルをアップロードしない方が良いでしょう。
- 「誤検閲」「検閲漏れ」の可能性
世の中には、規約で検閲を行うには、判断が迷うようなカテゴリーや内容のデータも数多く存在しています。
「検閲」を行うAIが合法ファイルにも関わらず、拡大解釈で「誤検閲」を行ってしまった場合、利用者にペナルティが課せられてしまい、サービス運営側に対して不信感を抱き、その結果ユーザーの離反を招き、悪評が広まり炎上する要因となります。また逆に、違法ファイルを「検閲漏れ」してしまう場合もあります。
例えば不適切画像の一部に変更を加える事で、検閲用のデータベースからの照合逃れをしようとするケースがその例です。この問題については、次回の記事で紹介する「Photo DNA」の技術をはじめ、複数のデータ解析技術を併用して、なるべく間違いを起こさない仕組みを取り入れている所がほとんどですが、いたちごっこの様相を呈してもいます。
- 「表現の理由」の可能性
世界には、特定の思想や表現を弾圧する事を是とする国があります。我が国では「表現の自由」として認められるデータも、その国では、そのデータ自体は所有しておらず、見ただけだったり、あげくの果てには想像しただけでも犯罪と見なされ、処刑される事が多々あります。
全世界でデータがうっかり閲覧されてしまう可能性も考え、サービス運営側だけでなく、データをアップロードする側においても、特に留意する必要があります。
次回は、具体的なクラウドストレージの検閲の方法について解説致します。
参考文献
Box/今さら聞けない、クラウドストレージとは?メリットや選ぶときのポイントを詳説
点と接線。/機能的で検閲のないクラウドストレージ、ゼロ説
Wikipedia/ゼロ知識証明